蒼穹の誘惑
「あと----今回は飲みすぎないでください」

そう言って高宮はカプセルの錠剤をみずきのデスクの上に置く。

「----何、これ?」

「胃もたれを防ぐものです。お食事前にどうぞ。これで悪酔いしないでしょう?」

「珍しいわね、あなたがこんなこと……」

「泥酔して呼び出されてもかないませんから」

「しないわよっ!」

みずきは高宮を睨み返し、そのカプセルをピルケースに入れ、クラッチバッグの中に無造作に入れた。

どうせ、高宮の心配はみずきの胃よりも、浅野の機嫌取りの方だ。

こんな時だけ優しくなる、高宮とはそんな男だ。みずきはそう自分に言い聞かせ、何も言わずに社長室を後にした。






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