蒼穹の誘惑
酔いも回り意識が微睡んでいる中、一本の電話がみずきを現実へと引き戻した。

携帯ではなく、固定電話にかけてくる相手は大抵決まっている。

無視をきめこもうとするが、中々電話は鳴りやまない。

いっそのことプラグを抜いてしまいたい衝動にかられるが、そんなことをすれば、またうるさい小言に悩まされる。

みずきは重い足取りでソファから立ち上がり子機を手にした。

「はい……」

声が低く掠れるのは、度数の高いアルコールで喉が焼け付くように痛いからだけではない。

「私だが今話せるかね?」

「何ですか?こんな時間に、叔父様----」

プライベートな時間にしかもマンションの電話にかけてくるのだから、勿論仕事の話ではないだろう、と電話の相手に嫌みをこめる。

「単刀直入に言おう。今日浅野氏と会っていたんだろう?」

「そんなことを聞くためにわざわざ?」

全く----どこで知ったのか……

みずきのプライベートな予定は高宮しか知らない筈だ。

大方運転手に聞いたのだろう。




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