蒼穹の誘惑
「提携話を色仕掛けか?ふん、お前らしい」

「何のことだか……浅野社長に食事に誘われたのでお受けしただけですわ」

「勝手にことを進めるな」

「何のことかしら?今日はプライベートなデートですよ」

「いい加減にしろっ!」

あくまでシラを切るみずきに業を煮やした栄次郎は急に声を荒げた。

「叔父様が何と言おうとこの案件は進めます。叔父様もこのままでは長谷川がつぶれると思ってらっしゃるでしょう?」

「お前のやり方が気に食わん。他社を頼らずとも長谷川の技術だけでできるはずだ。前にも言ったが、WEB系アプリケーションまで手を広げる必要などない!」

またこれか、とみずきはげんなりする。

波に乗り遅れた長谷川が技術的に他社に追いつくには少なくとも三年はかかる。その間に他の企業は更に躍進しているだろう。

「その話は明日でも良いですか?電話で二人でする話ではないわ」

「一つ忠告しておく。高宮にも言ったが、お前が度を超しすぎると、我々は最終的に付属定款の第六条を行使することもできるんだからな」

「なっ……!」

「言っている意味はわかるな?」

「会社を潰す気!?」

「兄が築いた大事な会社だ。お前が潰すのを見ていられないだけだ」

沸々と怒りがこみ上げてくるが、今のみずきにはこの古狸の相手をしている気力も体力もない。



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