蒼穹の誘惑
高宮が向かった先は、使用されていないフロアの一角にある小会議室。

軽くノックをして入れば、窓を背に立ち、上機嫌な笑みを浮かべる男がいた。

「どうなんだ?あのおてんば娘は首を立てに振ったか?」

副社長は、詰めるように高宮の傍へ立つ。

「いいえ、その話はまだ……それどころか私を解雇するとまで言ってきました」

「はっ!これは驚きだ。しかしまさか君がわが社の株を9%も持っているとは思っていなかっただろう?」

副社長の瞳の奥が怪しく光り、舌なめずりするように高宮を見上げた。

「助かりました」

「まぁ、みずきはいつでも追い出せる。今大事なのは浅野をどう飼いならすかだ」

「もう手は打ってあります」

「ほう、流石だな……」

「そこでひとつお願いがあります」

「何だ?」と顔を上げれば、不敵に笑う高宮の双眸に思わず尻込みする。




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