蒼穹の誘惑
「私に任せてください。浅野と社長両方を飼いならすことができますから」

「いや、だが……やはりそれはできない。私の保険だ」

「わかりました。出過ぎました」

ここで押しすぎては、ことを成せない、高宮はすんなり引き下がり、頭を下げた。

「またその話は詳しく聞かせてもらうとしよう」

「了解いたしました」

「それでみずきは、浅野と深い関係になっているのか?」

「-----はい」

「全く父に似てあの娘はすきものだな……」

下世話な話に副社長の顔が醜く歪む。

「話は以上ですか?」

冷ややかに響く高宮の声に、ハッと我に返る。

「あぁ、今週臨時の役員会を招集する。それまでに頼むぞ?」

「承知しました」

高宮は一礼すると先に会議室を後にした。



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