蒼穹の誘惑
「優しい奥様は痛く悲しんでおられました。あなたが会社の金を横領していたと知って。そしてその横領した金を奥様名義の口座に振り込んでいたことも……」
「な、何を……そんな戯言…」
「高藤産業有限公司、ヒノ・カンパニー・リミテッド、上海精工科技発展公司、全てあなたが長年懇意にしている会社ばかりです。水増し請求をさせ、その差額、リベート分を個人の為替投資と称して奥様のニューヨークの銀行口座に振り込んでいましたね?あえて規制の緩い東アジアの国に絞り、単価を徐々に上げていくあたり、姑息というか実に巧妙です。元経理部長の西条専務が絡んでいるからこそできたことでしょうけど」
怒りで赤くなっていた栄次郎の顔が見る見る青ざめていく。
何か言いたげに唇を動かすが、震えるだけで、言葉を発することができない。
「悪あがきはよした方がいいですよ。証拠はすでに挙がっています」
高宮はタブレットPCを見せ、画面をスライドさせる。過去の請求書、幸子名義の口座明細等の証票が次々と出てきた。
「き、貴様の望みは何だ?役員会議も開かず、監査役も弁護士もいないということは、告訴する気はないようだな?」
「こんな時だというのに状況判断が早くて助かります。告訴などするわけないでしょう?株主総会を前にそんなことできません」
「では、何が-----?」
「な、何を……そんな戯言…」
「高藤産業有限公司、ヒノ・カンパニー・リミテッド、上海精工科技発展公司、全てあなたが長年懇意にしている会社ばかりです。水増し請求をさせ、その差額、リベート分を個人の為替投資と称して奥様のニューヨークの銀行口座に振り込んでいましたね?あえて規制の緩い東アジアの国に絞り、単価を徐々に上げていくあたり、姑息というか実に巧妙です。元経理部長の西条専務が絡んでいるからこそできたことでしょうけど」
怒りで赤くなっていた栄次郎の顔が見る見る青ざめていく。
何か言いたげに唇を動かすが、震えるだけで、言葉を発することができない。
「悪あがきはよした方がいいですよ。証拠はすでに挙がっています」
高宮はタブレットPCを見せ、画面をスライドさせる。過去の請求書、幸子名義の口座明細等の証票が次々と出てきた。
「き、貴様の望みは何だ?役員会議も開かず、監査役も弁護士もいないということは、告訴する気はないようだな?」
「こんな時だというのに状況判断が早くて助かります。告訴などするわけないでしょう?株主総会を前にそんなことできません」
「では、何が-----?」