蒼穹の誘惑
クラブフロアの居心地の良いカウチで、微睡かけた意識の中ぼんやり考え事をしていると、ふと名前を呼ばれた。

「みずきさん?」

はっとして顔を上げれば、そこには人形のように綺麗な顔をした男がにっこりほほ笑んでいた。

「浅野君-----」

ぼうっとしていたせいか、頭が回らない。

「明日ニューヨークに経たれると聞いて、いてもたってもいられずに来てしまいました」

「-----どうしてここが?」

最後に会った日のことがフラッシュバックのように蘇り、身体が強張る。

ここに滞在していることは誰にも告げていない。

何故浅野が知っているのだろうか。

しかもこのフロアは宿泊専用のカードキーでしか入れないはず-----

みずきの心の内を読んだように、浅野は苦笑した。

膝を落として、視線をみずきの高さに合わせると、ゆっくり口を開いた。



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