蒼穹の誘惑
今日は平日ということもあり、お客の数は少なかった。個室に案内され、二人は対面に座る。

薄暗い間接照明に照らされながらも、浅野の頬がまだ紅潮しているのがわかる。

「せっかくだから、おいしい日本酒でも飲もうかしら?浅野君どうする?」

「いえ、今日は飲みません。お酒の力を借りずに、ちゃんとお話がししたくて」

「まぁ……」

かわいい、と口に出していいそうになり、みずきはその言葉を飲み込む。

「みずきさん、本当に申し訳ありませんでした」

浅野がテーブルに手をつき、急に頭を深く下げた。

「いやだ、浅野君頭を上げて。何に謝罪しているの?あなたは何も謝るようなことはしていないわ」

「みずきさん、でも……」

「ビジネスと割り切ってちょうだい」

「僕の本意ではありませんでした。本当にアブリソフトの件は、僕自身も一緒に進めたかった」

これは浅野の本心だろう。あの時彼は迷っていた。だからこそ、情報をぎりぎりのところで提供してくれた。



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