蒼穹の誘惑
「ん……」

「みずきさん、どうしました?」

「ううん。私も調子に乗って、ちょっと飲みすぎたかしら?エレベーターに酔っちゃいそう」

「あぁ、僕もこの浮遊感嫌いです。吐きそうになる」

「やだ、浅野君大丈夫!?」

みずきは、自分自身も酔いを感じながら、浅野の背中をさする。

「大丈夫です。今のところは……」

エレベーターがロビーに付き、何とか浅野を支えエントランスフロアまで出る。

「迎えが来ている筈ですから。すみません」

「ううん、いいのよ」

エレベーターに乗ったため、さらに酔いが回ったのか、浅野の声が弱々しくなる。

「浅野君、しっかりして。車はどれ?」

「黒のBMW……運転手が、前に出ている、はず……」

浅野の意識がとぎれとぎれになる。

ローターリーには、一台のBMWが停車していた。車を見つけた瞬間、みずきの肩に重みが増す。

腰を支える腕が引きちぎれそうだ。

こちらの様子に気付いた運転手が慌てて駆け寄った。



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