蒼穹の誘惑
(3)


深夜12時を過ぎ、長谷川本社ビルの社長室の灯りはまだついていた。

決算報告書に目を通しながら、高宮は思案していた。

代表取締役社長を代行していた副社長が不在の今、明日にでも役員会議を招集しなければならない。

株主総会を前に、取締役副社長と数名の執行役員の不正の発覚に、大きな役員人事の交代-----

長谷川は間違いなく追い込まれるだろう。

半導体部門の工場長など執行役員の中には、先代と共に長谷川を支えてきた叩き上げの人格者は数名いる。

だが、長谷川グループを総括するとなると、また話は別である。

この泥沼の状態を誰が引き継ぎたいものか……

出る杭を打つまでもない。

インターステイトのM&Aに反対するものなどいないだろう。



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