蒼穹の誘惑
今は亡き先代丈一郎は、一族経営に固執した結果、このような裏目に出るなど思いもしなかったはずだ。

また、信頼していた実弟が不正を犯し、グループ全体を存続の危機に陥れようとは、誰が想像できただろうか。

そして、その実弟が愚かな上に考えが甘すぎた。

欲に溺れて判断を見失ったというか-----

栄次郎は、もともとソフト開発や家電部門は長谷川従来の技術では専門外なこともあり、半導体以上に手を広げることは、乗り気ではなかった。

バブル経済の崩壊後、家電部門は大幅な赤字となり、リーマンショックを経て、長谷川の業績は何とか平行線を保つのがやっとだ。

また、家電部門だけでなく、半導体部門ですら台湾企業や韓国企業に押されているのが現状である。



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