蒼穹の誘惑
(高宮に知らせてくれれば……)
一瞬楽観的な考えが過り、その甘さについ噴き出してしまった。
「この期におよんでおめでたい性格だわ」
ホテル側から連絡を受けたとして、高宮が動くわけがない。
今更自分がどうなろうと、あの男が気にするはずもなく――――
ましてや、あの叔父もみずきのことなど気にも留めないだろう。
嘗て親密な関係にあった秘書どころか、数少ない肉親すらも当てにならないこの状況に、最早苦笑いしかこみ上げてこない。
とにかく今は落ち着いて、相手の出方を待つしかない。
そして、身体を休め、精神を健全に保つことが大事だ。
いつ逃げ出せるチャンスがくるか分からない。
自分にそう言い聞かせ、襲いかかる不安を誤魔化すように、みずきは目を閉じた。