蒼穹の誘惑
国道に出て少しすると、高宮のハンドルの手元が狂う。

男が咎めようと前のめりになったその刹那、パーンという大きな音とともに車体が大きく左側に傾いた。

高宮は小さな舌打ちと共に、急ブレーキを踏み、ハンドルを大きく切る。

流石の男も、伸ばしていた背筋を大きく揺らし、窓に頭を強く打った。

シートベルトをしていなければ、窓の外に飛び出していただろう。

車は大きくスピンし、反対車線を突っ切り、側面をガードレールにぶつけた。

強い衝撃と共に、エアバッグが開き、高宮の身体は大きく打ち付けられた。

反対車線から車が走っていれば、大事故になっていたに違いない。

大事故は避けられたようだが、エアバックが開き、焦げ臭い匂いが車内に充満する。

エアバッグとシートの間で挟まれた高宮の身体はぐったりとし、背後から呼び掛ける男に答えることなく意識を失った。




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