蒼穹の誘惑
先程の電話は誰だったのだろうか。

みずきに喋らせたということは、何らかの取引が行われているに違いない。

この際誰でも良かった。この場所から助け出してくれるなら。

身代金が必要なら自分で払ってもいい。

取りあえず、今は、さっさとお風呂に入り、ふかふかのベッドで眠りたい。

あぁ、リッツに戻り、あの極上のボディートリートメントを受けるのもいい。

そして―――


(会いたい……)


どうしても、高宮に会いたかった。

この一連の事件に高宮が絡んでいるのかもしれない。その疑念は拭えない。

もし、関係なかったとしても、今このみずきの状況を知っても素知らぬ振りをするだろう。

それでも、会いたかった。

皮肉った笑いも、頭にくる毒舌も、全てが愛おしかった。




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