蒼穹の誘惑
「あなたと私の利害は一致しています。今後の主流は間違いなくスマート化です。マイ○ロソフトの新しいOSもその性能にタブレットの潜在能力を加えたものになっています」

先程までかわいらしい少年の色は消え、年商10億円を誇るIT企業のトップの顔になる。

「ええ、タッチ、マウス、キーボードによる自在な操作が可能でアプリケーションソフトの起動の速さに驚きましたわ。その点で、SO○Yのキーボード脱着型ノートPCはウィン○ウズ8には最適ですね。だからこそ----」

みずきは浅野をじっと見据える。

「あなたの協力が必要なの。他の企業が次々に新しいプロトタイプを開発していく中、長谷川はこの分野では遅れを取っています」

「長谷川社長、それは御社だけではありません。世界のトレンドはJAPANという地域区分から、韓国、台湾とひとくくりにされ、他のアジア諸国の勢いにのまれつつあります。これは日本市場が著しく縮小したせいもありますが、それだけではない」

浅野は試すようにみずきの返答を待っている。みずきはゆっくり言葉を選んだ。


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