蒼穹の誘惑
返事も待たずに高宮がドアを開けて入ってきた。

浅野はとっさに重ねていた手をみずきから離す。

高宮はそんな浅野に一瞥をくれただけでみずきの傍へ歩み寄る。

「社長、商談は終わられたようですね?私はこれで失礼させて頂きますが、他にご用件は?」


(全く----鼻が利くんだから)


「用件は、あるわよ!」

「何でしょうか?」

「会社に戻ります」

「ご自宅に戻られるのでは?」

高宮は冷ややかに言い放つ。その薄い笑いが皮肉っぽく見えるのは気のせいではないだろう。

「仕事が入ったわ。予定は変更します」

みずきの顔からは、浅野に向けていた優しい笑みは消え、社長の顔に戻っていた。


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