蒼穹の誘惑
車の中でみずきは徹底して高宮と口を利かなかった。いや、高宮がこれと言って話しかけてくることもなかったが、自分から絶対に口を利きたくなかった。

浅野との甘い時間を隣に座るこの秘書に邪魔されたのだ。今夜、デートとまでは考えてなかったが、キスくらいはしてみたかった、というのが本音だ。

あの後、高宮に続いて支配人やフロアマネージャーが代わる代わる挨拶に入室し、浅野とは形式的にしか言葉を交わすことができなかった。


(せっかくの浅野君との楽しい時間が!!本当に何を考えているのかわからない男だわ)


隣に座る高宮をチラっと見遣れば、無表情でタブレットPCでスケジュールを確認している。

「何です?社長?」

「何でもないわよっ!話しかけないでくれる?考え事しているの!」


(ホント黙っていればいい男なのに……)


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