蒼穹の誘惑
「何を、しているの?」

鏡の中の高宮はスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めている。

「着替えているんだけど?」

彼は質問には答えず、スリップの肩紐に指を絡ませ、みずきの耳元で低く囁いた。

「ちょっと言い過ぎましたね?反省しています」

わざと耳朶に息を吹きかける。唇は触れるか触れないかの距離で熱を送る。

「…ん……契約がうまくいけばいいんでしょ?私も同じ考えよ」

「まだ怒っているのですか?」

「何の、こと……?」

耳が熱い。全神経が集中する。

「キスをさせなかったこと……それとも、彼を誘惑しろと言ったこと?どちらです?」

質問を更にややこしくする。

そんなことみずき自身も答えがわからない。



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