蒼穹の誘惑
「ふ〜ん、偉くさい奴」

高宮に良く似た声が下から聞えてくる。達也を覗き込めば、それはまた高宮そっくりの皮肉った笑い笑い口元に浮かべていた。

「子供らしい表情をしたかと思えば……」

みずきが溜め息を漏らすと、目の前の達也は胸元をじっと見ている。

「みずきっておっぱいでっかいな?パパが言ってたぞ!胸のでかい女はバカだって?みずきバカなの?」

「なっ……」

呆れてみずきの口がわなわなと震える。

「あっはははっ」

「ちょっと、高宮君!何笑ってんのよっ!この子教育上問題あるわよ?」

「こんな子供にまで言われて」

高宮が芝生の上で腹を抱えて笑っている。

みずきはこんな高宮を初めて見た。

自分の前でこんなに大笑いする高宮を。

「----あなたの教育?」

「いいえ。俺は何も……」

彼はまだ目に涙を溜めて笑っている。


(かわいいところあるんじゃない……)


みずきはこの時初めて高宮が自分より年下だと思えた。



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