蒼穹の誘惑
その後は、まるで何事もなかったように3人で高宮の作った夕食を楽しんだ。

いや、何事もなかったように割り切れていたのは高宮の方だけで、正確には、みずきは動揺をしていないフリをしていた。

心の中は大揺れに揺れていたが、全ては欲求不満のせいだ、と結論づけ、心を静めた。


食事が終わり、ダイニングテーブルでコーヒーを飲む頃には、普段のみずきに戻っていた。

「本当に高宮君が料理できるなんて意外。殆ど外食派だと思っていたわ」

「あなたは明らかに料理ができなさそうですね?」

「失礼ね!目玉焼きくらいならできるわよ!」

目玉焼きは料理と呼べるのだろうか、と自分でも疑問に思いながらコーヒーを飲み込む。

「なぁ、蒼冴のご飯、美味かったろ?」

歯を磨きながら横から達也が聞いてくる。自慢の兄の料理を褒めて欲しい、と子供らしく笑っている。

「おいしかったわよ。達也の言う通りだったわ」

「だろ~?」

「ほら、ちゃんと洗面所で磨いてきなさいよ」

眠い目をこすりながら、は~いと洗面所に素直に行く姿は、やっぱり歳相応の子供らしい。



< 97 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop