蜜色チェーン―キミと一緒に―
それほどに、拓海くんが負っているキズは大きくて深いんだ。
知っていた事なのに、再度思い知らされる。
そして、無力な自分を、情けなく思う。
痛いほどに。
「由香……?」
名前を呼ばれてハっと顔を上げると、ホテルの自動ドアの前に拓海くんがいた。
いつの間に外に出てきたのかは分からないけど、その傍らには、最初肩を抱いていた女の人がいた。
「拓海くん……」
私を見た拓海くんの顔が、ツラそうに歪んでいく。
助けてって聞こえてきそうな顔に……。
手を伸ばさずにはいられなかった。