蜜色チェーン―キミと一緒に―
――先週の火曜日。
私と愛美が、業務を終えて職員用の出入り口に向かって歩いていた時、その途中の部屋から女の人の声が聞こえた。
半分泣いているようにも聞こえて思わず立ち止まると、部屋のドアが少し開いていて。
中を覗くと、白いブラインドが下げられた薄暗い部屋の中に、女性社員に迫っている笹川専務の姿があった。
……三村さん?
私の母親と同じくらいの年齢の三村さんとは、制服のサイズを計ったりする時に知り合った。
私と同じ歳の息子さんがいるとかで、私や愛美にもよくしてくれて……、いつも笑顔でいるような人だったのに。
今、三村さんの顔は歪んでいて、涙ぐんでいるようにも見えた。
三村さんの手首を掴んだ笹川専務が気持ち悪く笑っていた。