蜜色チェーン―キミと一緒に―


『別にいいだろう。食事に付き合うくらい』
『こ、困ります……。家族の夕食の支度もありますし……』
『家族っていえば、アンタんとこの息子、この会社受けるらしいねぇ。
アンタの態度次第で、どうにでもなるよ』
『息子は、私なんかの手助けがなくても、自分の力で……』
『分かってないね。態度次第で悪い方向にも持っていけるって意味で言ったんだ』


三村さんが顔をしかめたまま絶句する。

その様子を心の底から楽しそうに見ている笹川専務を見ていたら、自然と身体が動いていた。

勢いよくドアを開けると、中にいたふたりが驚いた顔をして私を見る。


『笹川専務、今のやりとりを聞かせて頂きました。
これは、セクハラやパワハラにあたりますよね?』


笹川専務はハって吐き出すように笑ってから、私に近づいてきた。
笑みを浮かべている表情には、余裕が混ざっていた。



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