蜜色チェーン―キミと一緒に―


「枯れたままでいた方が楽なのに」
「そんな事ないよ」
「あるよ」


言い切られて思わず黙ると、拓海くんがツラそうに微笑んだまま続ける。


「今回ので思い知った。
家から離れて、過去からも多少離れた気でいたけど……。
俺は結局、抜け出せない」
「そんな事……っ」
「似たような場面に出くわすたび、何度でもフラッシュバックしてくるし、無理なんだよ。
母親に裏切られたあの瞬間から、ゴールは決まってたんだ」
「ゴールなんて……何度だって変えられるよ」


未来は、変えられるんだよ。
拓海くん―――。

伝わって欲しくて、届いて欲しくて。
じっと強い眼差しで見つめていると、拓海くんはそんな私を見てふって笑った。


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