蜜色チェーン―キミと一緒に―


宮坂さんの彼女を追い詰めるって言ってた拓海くん。

でも、彼女からしたら、拓海くんがなんでそんな事をするのか疑問に思うんじゃないかって言ったら、拓海くんは淡々と答えた。


『半分血のつながった弟にライバル心を燃やしてるって事にすれば全部つじつまが合う。
社長にも宮坂にも、プライドが高くて社長の椅子に拘ってるって思わせれば問題ない』
『わざと、そう思わせるの? 嘘の演技して……?』
『嘘も演技も、今さらだよ。
母親に裏切られた瞬間から、嘘でしか生きてない』
『嘘って……私の前でも?』


その問いかけに、拓海くんは微笑むだけだった。

家族の前では、何も気にしていない、傷ついてないって演技をして。
社内では、傷に近づけないために、常に嘘の笑顔を作って。


それを知っているからこそ、私の前では素でいて欲しかったし、実際そうだって思っていたけど……。
私の思い上がりだったのかな。



< 120 / 285 >

この作品をシェア

pagetop