蜜色チェーン―キミと一緒に―
着替えを終えて社員専用の出入り口から外に出ると、もう空には星が見えていた。
もうすぐ夏だからそこまで暗くはないけど、見上げる空に暖色の部分はない。
夕方、不審者がいた場所を通る時、少しドキドキしたけど、もうあの人はいなかった。
会社の前の通りは人通りも多いし、明るい。
だから、やっぱり勘違いだったのかなー、なんて楽観的に考えて歩く事ができた。
……けど。
私のアパートに近づくにつれて、人通りはどんどん少なくなる一方で。
住宅街の中にあるアパートまで100メートルってなった時には、すれ違う人はほとんどいなくなっていた。
暗くなった道に灯る街灯もポツポツとしかないし。
電気がついてる家は多いけど、不安になった気持ちを支えてくれるほどの心強さは感じなかった。
いつもは気にならないのに、今日は少し怖く感じる。
やっぱり、夕方の不審者の事が頭にあるからかもしれない。