蜜色チェーン―キミと一緒に―
なんで勇樹がここまで私と拓海くんの事に関わってくるのかが分からない。
勇樹がこんな事言い出さなければ、私と拓海くんは何も変わる事なく過ごせていたのに……。
「つまり勇樹くんは、俺じゃ由香を幸せにできないから、別れろって言いにきたんだろ?」
勇樹が、ぐっと言葉をのむ。
拓海くんの事情を聞いたからか、気を使って遠慮しているみたいだった。
根は優しい子だから、捨てられたなんて聞いたらショックだったのかもしれない。
「別に俺に遠慮する必要なんかないよ。
俺だって分かってるし」
「……やめて」
「俺みたいに、親からもろくな愛情注がれずに育ったヤツなんかが、誰かを幸せにできるなんて思ってない」
「やめてっ、拓海くん……っ」
「だけど、安心していいよ。
俺と由香は、付き合った事なんて一度もないから」
さっきまで俯いていた勇樹が、顔を上げる。
そして、険しい顔で拓海くんを見た。