蜜色チェーン―キミと一緒に―


「付き合った事ない……?
じゃあ、なんで寝てるんだよ! なんで、こんな風に姉ちゃんの部屋にきてるんだよ!」
「由香が優しくて……俺が、悪い男だから」
「ふざけんなっ! 付き合ってもいないのに、なんで……っ」
「やめてっ!!」


大声で叫ぶと、ふたりがやっと黙る。
床についた両手を、ぐっと握りしめる。

ゆっくりと顔を上げると、驚いた顔をして私を見る勇樹と、無表情の拓海くんがいた。

そんな顔しないでよ、拓海くん……。
そんな顔、させないでよ―――。


「私が、好きで拓海くんと一緒にいるの。
全部、私の意思。拓海くんに強要された事なんてひとつもない」
「でも、こんなヤツと一緒にいたって……っ」
「私の意思って言ったでしょ……っ!
勇樹に口を出す権利なんてないっ」





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