蜜色チェーン―キミと一緒に―


まっすぐに勇樹を見つめながら強く言い切ると、勇樹の瞳が動揺で揺れた。

今までこんな風にケンカした事もないし、怒鳴った事もなかったから、勇樹の表情に胸が痛む。

拓海くんを傷つけたくないためだとしても、ひどい事を言ったんだから、勇樹が動揺するのも当たり前だ。

突き放すような事を言った私に、勇樹が少なからず傷ついてるのは分かってたけど……続けた。
どうしても伝えたい事があったから。


「それでも納得できないなら、私を責めて」
「姉ちゃん……」
「お願いだから……もう、拓海くんを傷つけないで―――」


ポタって一粒だけ落ちた涙。

勇樹は顔をしかめて俯いて……、拓海くんは無表情のまま目を伏せていた。





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