蜜色チェーン―キミと一緒に―
――それが、先週の出来事。
「曲げない信念!みたいなのがあるよね、由香って」
「……でも、あの時は、ロビーで叫んでた愛美の方が噂になってたけどね」
「だって誰に言えばいいのか分からなかったから、とりあえず不特定多数の人に届くようにって思って。
いいじゃない。結局、成功だったし。
そういえば、沖田さんにちゃんとお礼した?」
急に拓海くんの名前を出されてドキっとした心臓。
それを気づかれないように、笑顔で頷いた。
「うん。大丈夫」
「に、しても、沖田さんどんな手を使ったんだろうね。
まさか社長に直談判とか?」
「……どうだろうね」
私と拓海くんが同じ会社の先輩後輩って関係以外にも繋がりがあるって事は、会社では内緒。
身体の関係にある事も、笹川専務が私を処分できない理由も……。
拓海くんが社長のこどもだって事も。
会社では、秘密。