蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇「知りたい?」
18時30分。
愛美の質問攻めをなんとか振り切って向かったのは、会社近くのマンション。
4年前に建ったばかりのマンションは、7階建で、外壁の色はベージュでレンガ調になっている。
エントランスを入ると広がるのはまっ白い空間。
観葉植物と、ところどころにある間接照明があったかい雰囲気を作っている。
エレベーターで6階まで上がった後、一番手前の部屋の前に立って、鍵を開けた。
「おかえり。コロッケ買ってあるよ」
入ってすぐに声をかけられて、びくっと肩を揺らす。
コロッケ……。そういえばいい匂いがする。
「びっくりした……。もう帰ってたの?」
「ああ。今日はどこの営業先もゴールデンウィーク中だったし、客から電話もかかってこないし。
みんなすぐ帰ったよ」