蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇「――由香に、俺を刻ませて」


「……え、なんで?」


駐車場を出て、帰るつもりでいた私は、拓海くんがすぐに他の駐車場に車を止めた事に驚いて。
さらに、そこが何の駐車場か分かったところで、もう一度驚いた。

だって、ここ、ホテルの駐車場だ。
しかも多分、夢の国直営のホテル……。

夕飯はさっき園内で食べたし、なんでこんな場所に……?

一瞬真っ白になった頭の中が、今度ははてなマークで埋め尽くされそうになっていた時、ようやく拓海くんがその理由を説明してくれた。


「明日休みだし、泊まって行こうかと思って」
「え……っ、あ、だから着替えとか持ってきてって言ったの?」


拓海くんが朝の電話で『遅くなったらそのまま俺の部屋に泊まればいいから、着替えとかメイク道具持ってきて』って言ってたのを思い出す。

不思議に思いながらも、拓海くんの部屋にはたまに泊まったりもするから、深く考えずに用意してきたけど……。


拓海くんは最初からここに泊まるつもりだったんだ。



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