蜜色チェーン―キミと一緒に―
「でも、高いんじゃない……?」
この近辺のホテルってだけでも高いのに、直営だなんて……。
きっと、ディナーなしでもふたりで5万は超える。
そんな心配をしていた私に、拓海くんは笑う。
「由香はお金の事は気にしないでいいから」
「でも、そんなわけにはいかないよ。
今はそんなにないけど、ちゃんと自分の分は払うから……」
「本当にいいって。俺が勝手にしてる事だし。
第一、こういう場合、男に払わせないのは失礼だとも言うし」
「……そんなの、どっかの外国の話でしょ」
「そうかもしれないけど、ここも外国だから」
きっと、夢の国だからとでも言いたいんだろうけど……。
お金を払ってもらうのが納得できなくてじっとしていると、運転席を降りた拓海くんが助手席のドアを開けてくれた。