蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇無色の世界
「……あれ?」
朝目が覚めた時、ベッドに拓海くんの姿はなかった。
夜中に一度起きた時には、隣にいたハズなのに……。
もう起きたのかな。
7時5分を示す時計を見ながらそんな風に思って、上半身を起こして部屋を見渡す。
けど、部屋の中に拓海くんの姿は見つけられなかった。
チェックアウトまで時間があるし、どこか出ているのかな。
色々お店が入ってたし。
そう考えた後、なんだか胸騒ぎがして急いで服を着替えて外に出られる準備をする。
最近の拓海くんも、昨晩の拓海くんも、少しおかしかったから。
きっと、ちょっと出てるだけで、少し待てばいつもの優しい笑顔で戻ってくる。
そう思うのに……嫌なドキドキが止まろうとしない。