蜜色チェーン―キミと一緒に―
ガバって頭を下げたままの私に、宮坂さんはため息をついた後、「頭を上げてください」と言う。
ゆっくりと顔を上げると、私を見る宮坂さんと目が合った。
なんだか怖いイメージがあったけど、眼鏡の奥の瞳が、優しく微笑んでいた。
「沖田の居場所は知りませんが、社長の家の場所を教えます」
「え……」
「社長なら知っているかもしれないし、社長もきっと、あなたの話を聞きたいと思います。
僕から連絡しておきますから、行って頂けますか?」
「社長の家に、ですか……?」
「はい。沖田の父の家に、です」
とんでもない展開になって、引け腰になる。
でも、立ち止まってる暇なんかないんだ。
「行きます」
もう後悔しないためにも、今度こそ全力でぶつからなくちゃ。
ふたりで怖がってちゃ進めないなら。
例え嫌われたって、私がぶつかる。
もう、後悔しか残らないような、こんな気持ちになりたくない。