蜜色チェーン―キミと一緒に―
◇会いたい……


できれば一緒にきて欲しかったけど、宮坂さんは彼女が熱を出して看病しているところだからって、帰ってしまって。
勇樹も、声が出た私を見て、「もう大丈夫そうだし」って笑顔で帰って行った。

私はというと、コンビニからそう離れていなかった社長の部屋の前にいるわけで。
宮坂さんにもらった地図を見つめながら、チャイムを押すかどうか悩んでいた。

だって、よくよく考えてみればまだ朝の7時台だ。
しかも今日は日曜。
私だったら寝ている時間帯だ。


宮坂さんは電話しておいてくれるって言っていたけど、だからってこんな時間に訪ねるなんて社会人としてありえない。
だったら、あと2,3時間、どこかで時間をつぶせばいい事だし、そうするべきなのは分かっているけど……。

どこかにいる拓海くんを思うと、そうのんびりもしていられなくて。

悩んだ挙句、チャイムを押そうと人差し指を伸ばした時、ガチャって鍵が開いた。



< 232 / 285 >

この作品をシェア

pagetop