蜜色チェーン―キミと一緒に―
開いたドアに思いきり驚いて数歩後ずさる。
そんな私に気づいて微笑んだのは……間違いなく、我が社の社長。
「息子から電話をもらって待っていたんだ」って言われて、ガバって頭を下げた。
「朝早くから申し訳ありません!
失礼は承知ですが、少しでも早く話したい事があって……っ」
「それも息子から聞いてるよ。
拓海の事だろう。
野原さんっていったかな。随分迷惑をかけたみたいで申し訳ない。
とりあえず、上がって話をしよう」
そう微笑んだ社長に、ゆっくりと頭を上げて頷いた。
「残念ながら、今拓海がどこにいるかは私も分からないんだ。
木曜日に私のところに来たっきり、連絡もとれていない」
通されたのは、リビング。
座るように言われたソファーの前には長方形のテーブルがあって、紅茶が湯気を立てていた。