蜜色チェーン―キミと一緒に―
「おはよう。そんなに緊張しないで欲しい」
「あ、はい……すみません。
社長……いつもは裏口から出社されるので、驚いてしまって」
「野原さんと少し話したくてね」
「えっ、私とですか?」
多分、拓海くんとの事なんだろうなとは思ったけど、社長に話があるなんて言われると、不安から嫌なドキドキが身体に広がる。
強張った私に微笑んだ後、社長が愛美を見て「少し野原さんを借りても大丈夫かな」と聞く。
「あ、はい。大丈夫です」
そう答えた愛美が、不思議そうに私を見る。
“なにやらかしたの?”って目で聞いてくる愛美に、曖昧に笑顔を返した。
「そんなに長い時間はかからないが、業務に支障が出るようなら、内線1001にかけて欲しい」
「分かりました」
愛美が頷いたのを見てから、社長が私に視線を移して「じゃあ行こうか」と微笑んだ。