蜜色チェーン―キミと一緒に―
「失礼します……」
社長が向かったのは社長室。
初めて入る社長室に緊張しながら恐る恐る足を踏み入れた。
そして案内されるまま、応接用のソファーに座る。
普段座っている受付の椅子とは違う感覚に、余計に緊張を覚えた。
「そう緊張しないで。この間の事も含めて、もう一度野原さんにお礼を言いたかっただけなんだ」
「お礼だなんて……。あの、拓海……沖田さんと、あれからお話になったんですよね?」
「ああ。昨日の朝にここでふたりで。
千明の課長昇進の件も含めて。ああ、宮坂って言った方が分かりやすいかな」
「じゃあ……宮坂さんが課長に昇進するって、沖田さんは社長の口から聞いたんですか……?」
「ああ、そうだ」
頷いた社長に、「なんで……」って声が漏れる。
課長昇進は、個人的な希望じゃない事も、子どもだからとかそんな事が関係していない事も分かってた。