蜜色チェーン―キミと一緒に―
やるせない気持ちでいっぱいになってつい余計な事を言ってしまったけど、それを社長に言ったところでどうにもならないのは分かっていたから、「すみません」とだけ謝って黙る。
そんな私に、社長は眉を潜めて目を伏せた。
「野原さんの言いたい事は分かるよ。
私もその事に対しては色々考えた」
「え……そうなんですか?」
「拓海の前で千明を選ぶ事は、拓海が抱えている傷に触れるかもしれない。
もちろん、あくまでも社内での立場上の事だけで、どちらが大切かだとか、そんな気持ちから千明を選ぶわけじゃない。
でも……仕事上って分かっていても、拓海を傷つける気がして怖かった」
私と同じ心配をしてくれていた社長を、驚きと安心を覚えながら見つめる。
「けど……この異動は野原さんの話を聞く前から決まっていたし、それを個人的な事情で先延ばしする事もできなかった。
だったらせめて私からと思って、昨日の朝話したんだ」
「沖田さんは、なんて……?」