蜜色チェーン―キミと一緒に―


「興味なさそうに頷いただけだった。
意外にも感じたが、考えてみれば、それを望んでいたのは拓海だったのだから当たり前なのかもしれない」
「そうですね……」
「そんな拓海の態度に、私を試す事に疲れて答えを急いでいるのは拓海なんだって気付いて、野原さんの言葉を思い出した。
拓海が、諦めたがっているって言葉を」


そこまで言った社長が、目を伏せたままふって笑みを浮かべる。
何かと思って見ていると、苦笑いを浮かべた社長が私を見た。


「拓海はクビにしろって一点張りでね。
でも、私だって拓海のそんな要求を聞き入れるわけにもいかない。
拓海が折れてくれるまで、時間がかかったよ」
「そうだったんですか……」
「朝話しただけじゃ無理だったから、その日の夕方にもここに呼び出して話したんだ。
時間がかかっても納得させるつもりでいたし、辛抱強く話したつもりだったが……。
拓海があまりに聞き分けがないものだからつい……」
「つい……?」


つい、どうしたんだろう。
聞き返した私に、社長が申し訳なさそうに言う。




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