蜜色チェーン―キミと一緒に―


社長に、反抗期だと思って拓海くんの行為を見逃して欲しいってお願いした事を思い出す。

父親とのケンカや殴り合いは、反抗期を迎えた学生ならあったって不思議な事じゃないのかもしれない。

そういえば勇樹もお父さんと一度殴り合いのケンカになった事があった。
理由は勇樹が門限を守らなかった日が続いたから。

“うるさい”だとか“ほっとけ”だとか。
そんな事ばかりを言う勇樹に、先に手を上げたのはお父さんだった。

お父さんが勇樹を心配するあまりに起きたケンカだった。

ふたりとも真剣で、本音のケンカ。
思い出の中のその光景に、拓海くんと社長の姿が重なる。


もしも、あの時のお父さんと勇樹みたいにケンカができたのなら。
拓海くんの心の中に、社長の気持ちが届いたかもしれない。

そう考えると、昨日私を訪ねてきた時の拓海くんの表情の意味が分かった気がした。



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