蜜色チェーン―キミと一緒に―
「ああ、ごめん」
その声を聞いて慌てて顔を上げると……私を見下ろす拓海くんの姿があった。
「なんで……今の話、聞いてたの?」
鼻を押さえながら言った私に、拓海くんは後ろ手でドアを閉めながらふって笑う。
「途中からだけどね。
受付の前通ったら、斉木さんが、由香が社長に呼び出されたって教えてくれて、すぐにここに来たけど。
ドア開けて聞こえてきた話が話だったから、入りづらくて。
だけど、俺の事を信じるとか言い出すから、さすがに歯が浮くみたいで聞いていられなくなって入ってきたんだ」
「そうなんだ……」
苦笑いして言う拓海くんは、そんなに嫌な気分でいるわけではなさそうだけど……。
私と社長がこんな風に話してる場面を見たんだから、頭のきれる拓海くんならきっと気づいてる。
私が社長に全部を話したって事を。
今していた会話にだって、それを簡単に予想させるような言葉があったと思うし……。
勝手に社長にべらべら話した私を、拓海くんは怒るかもしれない。
そう思ったけど。
意外にも拓海くんは優しい顔をしていた。