蜜色チェーン―キミと一緒に―


もしもバレた場合、何かしら理由がなくちゃ不自然だ。

それを、拓海くんのトラウマや過去を持ち出してまで説明する必要なんかないし、拓海くんの八つ当たりだとかわがままでって理由にしておくのは、社長の優しさだ。

理由があったとしても、拓海くんが宮坂さんにした事は事実なんだし、拓海くんが悪いのも分かってる。
けど……なんだか納得できなくて目を伏せた私に、社長が笑う。


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。
拓海も男だ。例え周りに何かを言われても、仕事で取り直せばいい。
それに、拓海も会社に残るって決めた以上、それくらいの覚悟ではいるだろう」


私を安心させるために言ったのかとも思ったけど。
そう言った社長の微笑みには、自信がにじんでいるように見えた。


「社長は、沖田さんを信じてるんですね」
「もちろんだ」
「私も、信じます」


そう、微笑み返した時。
社長室のドアがノックなしに開いた。

ドアの前に立っていた私が勢いよく振り向くと、入ってきた人物の胸に鼻がぶつかる。



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