蜜色チェーン―キミと一緒に―
直球を投げた私に、拓海くんは困り顔で笑った後、『知りたい? でもおもしろい話じゃないよ』って言った。
『うん。知りたい。おもしろい話じゃなくていいよ。
悩んでるなら、話くらい聞けるよ』
『はは、俺の悩みを由香が聞いてくれるの?』
『うん。だって、友達とケンカしちゃった時、拓海くん相談に乗ってくれたもん』
私の返答と拓海くんの悩みの温度差があまりにあったからか、拓海くんはしばらく笑ってたけど……。
持っていた教科書をパタンって閉じてから、ゆっくりと話してくれた。
拓海くんのお父さんが、本当のお父さんじゃない事。
そのお父さんと合わなくて、すぐにケンカになっちゃう事。
お母さんが、お父さんの味方しかしない事。
……今のお父さんとの子どもじゃない自分は、邪魔なだけだと思われてる事。
暗くならないように、わざと軽く笑いながら話してくれた。