蜜色チェーン―キミと一緒に―
「身体も中身も大人って、もしかしてもう処女じゃないの?」
「え……っ」
私と愛美がいるのは、6階建ての会社の一階オフィス。
私たち座る受付前はエレベーターホールまでの通り道だから、みんなが通る場所だ。
例え誰も通っていなくても、話題は選ぶべきだと思う。
その前に、業務時間内は私語だって禁止のハズなんだけど……。
その辺の規則を言っても、愛美の気が収まらないのは分かってたから、なんとか誤魔化そうと言葉を探す。
「えっと……」
がしっと両肩を掴まれている状態で目だけ逸らすと、肩を掴んでいる手の力が緩んだのが分かった。
そろりと視線を戻すと、顔を思いっきりしかめて絶句した愛美の姿が映る。
「処女じゃないんだ……」
「えっと……とりあえず、ここ受付で業務時間内だし、言葉を選んだ方が……」
「だって、絶対に処女だと思ってたのに……!」
「だ、だから、言葉を……」
「いつ?! どこで、誰と?!」