蜜色チェーン―キミと一緒に―
一気に興奮全開になった愛美が、再び掴みなおした肩を前後に激しく揺する。
155センチの私と同じくらい小柄なのに、そうとは感じられない力で揺すられて思わず「ま、待って!」って両手を愛美に向けた時。
自動ドアの開く音がした。
ふたりして慌ててロビーを振り向いて……、安心する。
入ってきたのがうちの社員だったから。
「なんだー、沖田さんですか。びっくりした」
グレーのスーツを着ている彼に、愛美が安堵のため息をつきながら笑顔を向ける。
私も何も言わずにじっと見つめていると、彼はお得意の営業スマイルを浮かべて、受付のカウンター前で立ち止まった。
「聞かれちゃマズイ話でもしてたの? “どこで誰と?!”とか聞こえたけど」
「あ、聞こえてましたか。すみません。
ただのガールズトークなので、気にしないでください」
「ガールズトークを受付嬢のふたりがしてたらマズイだろ。
会社の顔なんだから」