蜜色チェーン―キミと一緒に―


チラって後ろを見て確認すると、話しかけたのは、拓海くんの右隣に座っている石坂さんだった。

確か、拓海くんよりもひとつ後輩だ。
そう考えると、先輩相手には普通だったらしないような会話だし、お酒のせいで気が大きくなってるみたいだ。


「え、その間、本当って事っすか?!」
「さぁね。でも、もしも社長が俺の父親だったら、もっと会社の傍に住むけど」
「あれ、遠いんでしたっけ」
「そこまでじゃないけどね。
徒歩20分ってとこかな」
「それ、十分近いですって。俺なんか3駅先ですから。
いいなー……。部屋余ってないっすか?
俺の事、面倒見てくれません?」


聞いていると、この人社会人としてどうなのかなって思うけど、石坂さんは仕事の成績はいい。
明るいキャラだからか、取引先から契約もよくとってくるし、石坂さんを訪ねてくる人も結構いる。



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