蜜色チェーン―キミと一緒に―
拓海くんと私は恋人同士なんかじゃないし、私が縛る権利なんかないって分かってるけど……。
拓海くんは誰とも特別な関係にはならないって知ってるけど。
それでも落ち込んでいく気持ちは止められなかった。
だからイヤなんだ。
会社関係の飲み会とか、社内食堂とか。
拓海くんが他の女の子と一緒にいるのを見ると、苦しくなるから。
「はは。もう酔ってるの?」
「酔ってなんかないです。……本気ですよ?」
「本気だったらこんな場でそんな事言わないよ。
他の社員にバレるような場所で言い寄ってきたりしたら、すぐに噂になるし」
「噂になってもいいって言ったら?」
「困ったな」って笑う拓海くんの声を聞いていられなくなって、立ち上がる。
急に立ち上がった私を、愛美と田中係長が見上げた。