蜜色チェーン―キミと一緒に―
「はー……」
大きなため息をついて、じめじめした気分を吐き出した。
特別になれなくても、それでも一緒にいたいって想ったのは私だ。
例えずっと片思いでもいいって、そう思って傍にいるんだから。
こんな事でへこたれてちゃダメだ。
そんな気持ちを確認してから、トイレを出た。
「野原さん、大丈夫?」
トイレから出た途端声をかけられて、びっくりする。
視線を上げると、少し先に田中係長の姿があった。
「はい……。あ、すみません。もしかして心配してくれたんですか?
私、本当に酔って気持ち悪くなったわけじゃないので、大丈夫ですよ」
変な席の立ち方をしちゃったせいで、心配をかけちゃったのかと思って笑顔で答える。
田中係長は「ならよかった」ってにこって笑った後……なぜか近づいてきた。